コラム
2026.09.03
「骨が足りないのでインプラントは難しい」と歯科医院で言われた経験はありませんか。歯を失った後に時間が経過すると、顎の骨は少しずつ痩せていきます。従来のインプラント治療では、骨の量が十分でないと埋入が困難とされるケースが少なくありませんでした。しかし、オールオン4(All-on-4)という治療法であれば、骨造成を行わずにインプラント治療を受けられる可能性があります。
以下では、顎の骨が減少する原因、骨が少ない方でもオールオン4で治療できる仕組み、従来の骨造成手術との比較について順にご説明します。
顎の骨が痩せてしまう現象は「骨吸収」と呼ばれ、さまざまな原因で起こります。まずは、骨が減少する主な理由を理解しておきましょう。
天然の歯がある状態では、噛む力が歯根を通じて顎の骨に伝わり、適度な刺激が骨の新陳代謝を促しています。しかし歯を失うと、この刺激がなくなるため、骨は徐々に吸収されて薄く・低くなっていきます。抜歯後1年で骨幅が約25%減少するというデータもあり、時間の経過とともに骨量はますます少なくなります。
重度の歯周病は、歯を支えている歯槽骨を破壊します。歯周病が進行すると、歯が抜ける前の段階からすでに骨が大きく失われていることがあります。歯周病が原因で多くの歯を失った方は、骨量が著しく減少しているケースが多く見られます。
総入れ歯を長期間使用していると、入れ歯が歯茎に圧力をかけ続けることで骨吸収が加速します。特に合わない入れ歯を使い続けている場合、不均等な力が加わり、特定の部位の骨が集中的に吸収されることもあります。
加齢に伴う代謝の低下、骨粗しょう症、喫煙習慣なども骨量減少の要因となります。また、過去に外傷を受けた部位や、のう胞(嚢胞)の摘出手術を行った部位では、局所的に骨が少なくなっていることもあります。
従来のインプラント治療では、骨量が不足している場合に「骨造成手術」が行われてきました。代表的な骨造成の方法をご紹介します。
上顎の奥歯部分の骨が薄い場合に行われる手術です。上顎洞(サイナス)の粘膜を持ち上げて空間を作り、そこに骨補填材を填入して骨を増やします。骨が安定するまでに6〜9ヶ月程度の治癒期間が必要です。
骨が不足している部位にメンブレン(特殊な膜)を設置し、その中に骨補填材を入れて骨の再生を促す方法です。骨が十分に再生されるまで約4〜9ヶ月の期間がかかります。
骨造成手術には以下のようなデメリットがあります。
オールオン4は、顎の骨が少ない方でも骨造成なしで治療できるように設計された治療法です。その仕組みを詳しくご説明します。
オールオン4の最大の特徴は、奥歯側の2本のインプラントを最大45度の角度をつけて斜めに埋入する点にあります。顎の骨は前方部分(前歯のあたり)は比較的厚みが残りやすい傾向があります。骨が薄くなりやすい奥歯部分は避け、骨が十分にある前方部から斜めにインプラントを埋入します。これにより、骨造成を行わなくても十分な固定力を得られます。
インプラントを斜めに埋入することで、まっすぐ埋入するよりも骨との接触面積が大きくなります。接触面積が大きいほどインプラントの固定力(初期固定)は高まるため、骨量が少ない状態でもしっかりとした安定性が確保されます。
顎の骨は部位によって硬さ(骨質)が異なります。オールオン4では、CT画像を用いた精密な術前シミュレーションにより、骨の量だけでなく骨の質も評価し、最も条件の良い位置にインプラントを配置します。これにより、少ない骨量でも高い成功率を実現しています。
オールオン4は骨が少ない方に多くの可能性を提供しますが、すべてのケースに対応できるわけではありません。以下のような場合は、追加的な処置が必要になったり、治療が困難になったりすることがあります。
骨が少ない方が取り得る選択肢として、骨造成を行ってから従来のインプラント治療を受ける方法と、オールオン4を選択する方法を比較してみましょう。
新港イトセ歯科では、CT撮影による精密な骨量評価を行い、患者様の骨の状態に応じた治療計画を立案いたします。ノーベルガイドシステムを用いたコンピューターシミュレーションにより、インプラントの埋入位置・角度・深さを事前に正確に計画し、安全性と精度の高い手術を実施しています。
他院で「骨が足りないからインプラントは難しい」と言われた方も、オールオン4であれば治療可能な場合がございます。まずは無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。CTデータを基に、治療の可否を丁寧にご説明いたします。
この記事の監修
福岡歯科大学卒業。スウェーデン Göteborg大学 歯周病科 CTC修了。日本口腔インプラント学会・東京SJCD所属。インプラント埋入本数10,000本以上(令和8年8月時点)。
オールオン4について、お気軽にご相談ください